【いなくなれ、群青】ネタバレ|全6作品の小説の内容・感想を紹介

小説
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2019年に映画化された、河野裕さんの作品である「いなくなれ、群青」。

青春ミステリーやSF要素を含んだこの作品は「階段島」という架空の場所が物語のメインになっており、そこで繰り広げられる事件や駆け引きは青春時代のなんとも言い難い気持ちや描写を孕んでいて、ストーリに引き込まれます。

今回はそんな「いなくなれ、群青」から始まる河野裕の「階段島シリーズ」全6作品の小説の内容を、ネタバレも少し含みつつ内容や感想などをご紹介していきます。

『いなくなれ、群青』 ネタバレ:作品紹介

2014年の「いなくなれ、群青」から、2019年の「きみの世界に、青が鳴る」の全6巻で構成された「階段島シリーズ」。

ここでは、「階段島シリーズ」の作者である「河野裕」とシリーズ全てに登場するメインキャラクターを紹介していきます。

作者紹介:河野裕

作者の河野裕は1984(昭和59)年、徳島県生まれで、現在は兵庫県に住んでいます。2009年(平成21年)に「サクラダリセット CAT、GHOST and REVOLUTION SUNDAY」でデビューし、2015年には「いなくなれ、群青」で大学読書人大賞を受賞しました。

小説のジャンルは主に「青春ファンタジー」と呼ばれ、「いなくなれ、群青」のようなミステリー要素がありつつ、思春期の男女の繊細な感情表現や描写の描き方が人気です。

河野さんご本人曰く、【読みやすさを意識しており、リアリティは無視している。普通はしない表現だけれども、こう書いた方が誤読が少ない、といった文筆の傾向がある】とのこと。

登場人物紹介

以下に紹介する7人が「階段島シリーズ」における重要な登場人物となっております。性別や年齢、境遇や考え方などどの人物も個性があって読み進めていくうちに愛着が湧いていきます。

七草柏原第二高等学校、一年生。階段島での安定した学生生活を気に入っていたが、真辺由宇と再会したことで、島の謎や連続落書き事件に関わらざるを得なくなる。学生寮・三月荘で暮らす。物事を悲観的に捉えることが多い。
真辺由宇高校一年生。純粋で、まっすぐな少女。弱きを助ける正義の味方。小学四年から中学二年までの期間を七草と一緒に過ごすが、転校を機に連絡を絶っていた。階段島で七草と再会する。
七草のクラスメイト。コミュニケーションが苦手で、口数が極端に少ない。真辺に関して七草に警鐘を鳴らす。
佐々岡七草のクラスメイト。快活で人付き合いがいい。常にヘッドフォンで音楽を聴いている。七草と同じ三月荘で暮らしている。
水谷七草のクラスメイト。クラス委員長。真面目。仕切り屋。チャームポイントはおでこ。
柏原大地小学二年生。明るく素直な少年だが、なぜか勝負事で「勝つ」ことを嫌う。好物は、さつまいもコロッケ。
時任郵便局のお姉さん。和室好き。七草に対して、妙に馴れ馴れしい。
引用元(新潮文庫):https://www.shinchobunko-nex.jp/special/001.html

この7人の他にも「階段島シリーズ」には物語毎にユニークな登場人物たちがたくさんいるので、是非自分自身の好きな人物を探してみてください。

『いなくなれ、群青』 ネタバレ:あらすじ

「階段島シリーズ」の第1作目であり、その人気度から2019年に映画化もされた「いなくなれ、群青」。

ここからは、河野裕の代表作とも言える「いなくなれ、群青」のあらすじや魅力を映画の内容にも触れつつ詳しく解説していきます。

「いなくなれ、群青」の物語が描かれる階段島とは?

捨てられた人が集まると言われている階段島。そこは地図には載っていない孤島であり、およそ2000人が暮らしています。階段島の住人は、この階段島にやってきた時の記憶がありません。

島での生活は基本的にお金は必要ではなく、学生たちは編入することによって衣食住を確保でき、インターネットも利用可能です。インターネットが繋がっているため、基本的に必要なものはネット注文できます。しかし、電話は外には通じておらず、島から出ることもできません。

主人公の七草は階段島にやってきた時にあることを住民から聞きます。階段島にやってくるのは現実の世界の自分自身が捨てた「自分」であること。そして、階段島は魔女によって支配されているということ。

階段島を脱出することは不可能で誰も成し遂げたことがありません。むしろ、島での生活になれてしまって、誰も出ようとも思っていません。

物語はこの階段島で七草が真辺由宇と出会ってから、一変します。

「いなくなれ、群青」映画について

2019年に、「いなくなれ、群青」は横浜流星。飯豊まりえ主演で映画化されました。青春ミステリー小説が題材ということで、特に中高生などの若者に人気の作品です。

また、2020年の7月25日〜8月2日に開催された中国で唯一の「上海国際映画祭」に出展され、絶賛を博しました。

監督はアメリカの高校在学中にバッカイフィルムフェスティバルのオハイオ州優秀賞を受賞した柳明菜が手掛けました。

映画化された、「いなくなれ、群青」では第1作目の内容が上映され、続編に関しては未定となっています。

「いなくなれ、群青」のここが面白い、魅力

このように映画化もされた人気作である、「いなくなれ、群青」。

ここからは小説の内容に焦点を当てて、面白いポイントや魅力などを紹介していきます。

あらすじ

この物語はどうしようもなく、彼女に出会った時から始まる。

11月19日午前6時42分、僕は彼女に再会した。あるはずのない出会いが、平坦な高校生活を一変させる。心を穿つ新時代の青春ミステリ。

11月19日午前6時42分、僕は彼女に再会した。誰よりも真っ直ぐで、正しく、凛々しい少女、真辺由宇。あるはずのない出会いは、安定していた僕の高校生活を一変させる。奇妙な島。連続落書き事件。そこに秘められた謎…。僕はどうして、ここにいるのか。彼女はなぜ、ここに来たのか。やがて明かされる真相は、僕らの青春に残酷な現実を突きつける。「階段島」シリーズ、開幕。

引用元 Amazon(商品紹介):https://www.amazon.co.jp/dp/4101800049?tag=book1091145-22

おすすめポイント

・階段島のユニークな島民たち

・七草と真辺由宇の関係性や考え方の比較

・「魔女」は誰なのか、何の為に階段島を作ったのかと思わせる描写の数々

やはり、この物語で魅力的なところは階段島で起こる奇妙な出来事を心理描写や背景描写で表現していることだと思います。

青春時代の形容し難い、心理状況を周りの大人たちや登場人物たち同士の会話でイメージしやすく描かれており次の展開はどうなるのか、なぜそのような起きてしまったのかとミステリー小説を読み進める時に考える思考でページを捲りたくなります。

メインテーマは「魔女は誰なのか」ではあるのですが、それに対する七草や真辺由宇、他の登場人物たちの意見や考え方が様々で自分だったらどう思うだろうと想像して読むのも面白いです。

ちなみに私の好きな登場人物は「100万回生きたねこ(ナド)」です。

『いなくなれ、群青』ネタバレ:階段島シリーズ

ここからは、階段島シリーズのうち「いなくなれ、群青」を除く全5作品を紹介していきます。

どの作品も色がタイトルに使われており、ミステリー要素や思春期の感情を我々読者にイメージしやすいように作られています。

「その白さえ嘘だとしても」

あらすじ

あの頃の僕らは、誰かのヒーローになりたかった。クリスマスを目前に控えた階段島を事件が襲う。インターネット通販が使えない――。物資を外部に依存する島のライフラインは、ある日突然、寸断された。犯人とされるハッカーを追う真辺由宇。後輩女子のためにヴァイオリンの弦を探す佐々岡。島の七不思議に巻き込まれる水谷。そしてイヴ、各々の物語が交差するとき、七草は階段島最大の謎と対峙する。心を穿つ青春ミステリ、第2弾。

引用 Amazon(商品紹介):https://www.amazon.co.jp/dp/B017R193C0?tag=book1091145-22

おすすめポイント

・登場人物それぞれが誰かのために探し物を一生懸命に探す描写

・「クリスマスの七不思議」というミステリー要素

・見え隠れする階段島の謎と魔女との関係性

シリーズ2作品目は「クリスマスイブ」に焦点を置いた物語となっており、プレゼントや贈り物を探す宝探しのような要素もあるように思えます。

現実世界の自身に捨てられた登場人物たちがインターネットが突如使えなくなり、通販が届かなくなるという状況の中で誰かのために必死になって奔走する姿は捨てられたからこそ理解できるような優しさであったり、一種の自己犠牲による穴埋めをしているようにも感じました。

そこに階段島の七不思議のようなミステリー要素も複雑に絡まって、登場人物によって展開が変わっていくため、読んでいて飽きなかったです。また、階段島最大の謎である魔女の正体を探す真辺やその真辺を尊敬している七草の言動も思春期ならではの思惑があって、惹かれる内容となっていました。

「汚れた赤を恋と呼ぶんだ」

あらすじ

これは僕の失恋であり、同時に、初恋の物語だ。七草は引き算の魔女を知っていますか――。夏休みの終わり、真辺由宇と運命的な再会を果たした僕は、彼女からのメールをきっかけに、魔女の噂を追い始める。高校生と、魔女? ありえない組み合わせは、しかし確かな実感を伴って、僕と真辺の関係を侵食していく。一方、その渦中に現れた謎の少女・安達。現実世界における事件の真相が、いま明かされる。心を穿つ青春ミステリ、第3弾。

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おすすめポイント

・階段島ではなく、引き算の魔女に七草と真辺由宇が自分自身を引き抜かれる(捨てる)前の現実世界の物語

・新しい登場人物である安達と小学生である大地の「捨てたもの」や境遇に迫る内容

・階段島と現実世界との繋がりを哲学的要素を交えつつも高校生と小学生が必死に考える様子

シリーズ3作品目は現実世界での七草、真辺、そして新キャラクターである安達が階段島唯一の小学生である大地を元の現実世界に戻すために現実世界で奔走する物語です。

そこには、やはり魔女(引き算の魔女)が絡んでいるため階段島の内容も含むのですが1,2作で語られていた伏線の回収であったり新しい展開につながるような新たな伏線も登場します。

個人的にはやはり主人公の七草と真辺の現実世界での甘酸っぱい青春の恋模様であったり、お互いが捨てた自分自身の内容も相互に関係していて、頭も心も数々の思考でいっぱいになりました。

「凶器は壊れた黒の叫び」

あらすじ

君が求めたものは、夢か、幸福か。新聞部の創設。柏原第二高校に転校してきた安達は、島で唯一の小学生・相原大地のために部活動を始めることを提唱する。賛成するクラスメイト達だったが、七草はそれが堀を追い込むために巧妙に仕組まれた罠であることに気づく。紐解かれる階段島の歴史と、堀が追い求めた夢。歩み続けた七年間。その果てに彼女が見つけた幸福と、不幸とは……。心を穿つ青春ミステリ、第4弾。

引用元 Amazon(商品紹介):https://www.amazon.co.jp/dp/B06ZYQRMRW?tag=book1091145-22

おすすめポイント

・階段島と魔女の真実、特に階段島の成り立ちや魔女の持つ能力についての詳細

・階段島での七草と真辺の恋模様

・「幸せ」とは何か。言葉1つ1つの重みや意味を哲学的に描写しているところ

シリーズ4作品目ではついに階段島がなぜできたのかその歴史や魔女の真実について明かされます。そこには、この物語の主人公である七草に関係することやどこか怪しい感じのしていた時任さんの秘密も含まれており、私自身もまさかそんな展開があるのかといい意味で裏切られました。

優しい魔女が自分自身に課した呪いとは何なのか。夢と幸せと恋愛が相反することになったらどちらを選ぶのだろうか。究極の選択であり、自分だったら決められないのかもと思いながら読んでいました。

この4作目では今までの伏線の回収が多くあり、1〜3作目のところで謎になっていたことが次々と明らかになるので少し難しいですが理解できると少し頭がスッキリします。

「夜空の呪いに色はない」

あらすじ

かつて子どもだった すべての大人たちへ。郵便配達人・時任は、階段島での生活を気に入っていた。手紙を受け取り、カブに乗って、届ける。七草や堀を応援しつつも、積極的に島の問題には関わらない。だが一方で、彼女は心の奥底に、ある傷を抱えていた……。大地を現実に戻すべく、決意を固める真辺。突き刺さるトクメ先生の言葉。魔女の呪いとは何か。大人になる中で僕らは何を失うのか。心を穿つ青春ミステリ、第5弾。

引用元 Amazon(商品紹介):https://www.amazon.co.jp/dp/B07B49P3RZ?tag=book1091145-22

おすすめポイント

・今まで焦点の当てられなかった時任がメインの作品

・大地と時任の切っても切ることのできない関係性

・大地のためにうまくは魔法を使おうとする七草・堀・真辺・安達それぞれの考え方

シリーズ5作品目は時任がメインのストーリーで、彼女がどうして魔法を使ったのかや今まで語られてこなかった大地との関係が複雑に描かれています。

時任が抱える秘密が結構衝撃的で恐らく、自分自身の年齢と重なる点もあって共感できてしまい悲しい気持ちになりました。

また、この作品のタイトルだけ色が使われていないところも作者の意図があるのかもと思いました。今までの4作よりも重い内容になっている点や始まりだからこそ、また何もないからこそ色がないのかもと感じました。

「きみの世界に、青が鳴る」

あらすじ

『いなくなれ、群青』、シリーズ完結編! 2019年9月、実写映画化! [主演:横浜流星、飯豊まりえ] 真辺由宇。その、まっすぐな瞳。まるで群青色の空に輝くピストルスターのような圧倒的な光。僕の信仰。この物語は、彼女に出会ったときから始まった。階段島での日々も。堀との思い出も。相原大地という少年を巡る出来事も。それが行き着く先は、僕と彼女の物語だ。だから今、選ばなければいけない。成長するとは、大人になるとは、何なのかを。心を穿つ青春ミステリ、堂々完結。

引用元 Amazon(商品紹介):https://www.amazon.co.jp/dp/B07R216366?tag=book1091145-22

おすすめポイント

・哲学的要素だらけの高校生たちのやり取り

・何度打ち負かされても諦めない、真辺の強さ

・シリーズ最終巻と言いつつも、最終的な判断や最良の結末を読者に考えさせるところ

シリーズ最終巻はこれまでにないほど、読んでいて難しかったけれど内容に没頭していました。主人公たちの言動にはいつだって思いがあって、青春の真っ只中だからこそ難しく考えてしまったり、壁にぶち当たるのですがそれでも前に進んでいるのが読んでいて応援したくなりました。

1人1人思いや考えは違うけれど、それは誰かのためで本当に優しい世界なのだと感じました。

最終的な結末はハッピーエンドなのか判断できないし、まだまだモヤモヤしている自分自身もいたのですがそれが青春なのであり、過去を懐かしくもっと濃いものとして再度体験できたような感覚になりました。

いなくなれ、群青 ネタバレ:まとめ

いかがでしたでしょうか。

私自身もうまく解説出来ているかも定かではないですが、作品の内容が濃いものとなっているということは確かだと思います。

青春時代を過ごしている中高生はもちろんのこと、少し変わった青春小説が読みたいという方やミステリーが好きな方には特に読んでもらいたい作品です。

こちらからも河野裕の人気作品や最新作品などが購読可能ですので、ぜひ試してみてください。

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